以前から疑問に思っていたのだが、夏時間だと15時(現在は16時)頃からドル/円の値動きが非常に粗く見える時があって、言葉は悪いが「ヨーロッパ人は楽天的すぎる(つまり馬鹿だと思っていた)からだ」と考えていた。
また、他のブログ記事などを見ているとアメリカ市場に入ってからの「イギリス人いじめ」と呼ばれているロンドン時間で上昇していたドル/円が一旦帳消しになるような下降をしてから改めて上昇に転じると言う動き方をすることがあるのも不思議に思っていた。
最近になって色々調べていると売り買いのタイミングをユーロ/ドルやユーロ/円の動きを見ながら行っている人がいるということで、夕方からの時間帯を上記2つの通貨ペアを見ながらドル/円の動きを追うようにし始めたところ、以前からの動きが極々個人的ではあるもののある程度納得できるようになった。
端的にまとめるとユーロ/ドルが上昇(ユーロが買われ、ドルが売られる)し、ユーロ/円が下降(円が買われ、ユーロが売られる)とそれにつられてなのかドル/円が主導しているかは別としてドル/円は大幅に下降するというものである。
この動きはしばらく眺めているとある程度自然に身に付くものではあると思うが、自分自身にとって非常に有益な情報なので単純化しながらまとめてみたいと思う。これは今後の自分のためのメモとして考えているので、当然知っている人は見てもあまり役には立たないと思う。
では単純化して、一方の通貨を固定して上昇、下降した時点でドル円の値動きを見てみたいと思う。
まずユーロ/ドルが値動きせず、ユーロ/円が値上がりした場合
ユーロ/ドル ユーロ/円
ドル/円は上がる。
この動きは何が主導しているかは別としても、ドルの取引が行われていない状態で円が売られてユーロが買われることで「相対的に」、ドルは変わらないまま円が安くなるため結果としてドル/円は上昇する、つまり円安になっているということだと理解できそうだ。
それではユーロ/ドルが値上がりして、ユーロ/円が値動きをしなかったらと言うと、
ユーロ/ドル ユーロ/円
ドル/円は下がる。
逆にこの動きは、円の取引が行われていない状態でドルが売られてユーロが買われることで、円は変わらないままドルが安くなるということで、ドル安になっていると考えることができそうだ。
しかし相場は常に上下動を繰り返す。特にユーロ/ドルとユーロ/円については上下動の幅は違えこそすれ同調して動くことが多いように見える。
その場合でもドル/円は上下動を繰り返す。これはおそらく上下動の割合の多寡なのではないかと考えている。
では、ユーロ/ドルが大幅に上昇してユーロ/円が小幅に上昇した際の動きを見てみよう。
ユーロ/ドル ユーロ/円
この場合ドル/円は下降する。
単純化すればこの動きはユーロ/円の上昇幅を差し引くとユーロ/ドルが単に上昇したと計算上考えられるため、ドル/円が下降すると思われる。この際、上昇の幅はチャート上の見た目ではわかりづらいから注意が必要である。チャートの上下の幅はその日の値動きによって左右するからである。
この場合の動きはドル・円双方ともに安くなったが、ドル安の方が強かったため見た目上円高・ドル安になっていると思われる。
逆にユーロ/ドルが小幅に上昇、ユーロ/円が大幅に上昇した場合を考えてみよう。
ユーロ/ドル ユーロ/円
この場合ドル/円は上昇する。
前の例と同様に計算上だけの話をすると、単純にユーロ/円が上昇した分だけ相対的に円が高くなったと考えられる。
実際はやはり、ドル・円双方ともに安くなってはいるが、円安の方が強かったため見た目上、円安・ドル高になったと言える。くどくなるがチャート上の上昇幅はこの場合あまり参考にならない。おそらくはどのくらいの割合で上昇したかということなので、その日の相場の状況を見合わせながら考える必要があるのは前述した通りである。
多くの場合同調しているように見えるユーロ/ドルとユーロ/円ではあるが、反転した動きをするときもある。この状況が発生するとドル/円の動きはとても大きくなる。
まずはユーロ/ドルが下降して、ユーロ/円が上昇した時の動きを見てみよう。
ユーロ/ドル ユーロ/円
この場合ドル/円は大幅に上昇する。
この場合の説明はかなりわかりやすいものになる。ユーロが売られドルが買われたのでドル高になり、円が売られてユーロが買われたので円安になったと思われる。単純に円安・ドル高が発生したため、上昇幅もそれだけ大きくなっているのだろうと考えられる。
言わずもがなかもしれないが、逆の場合についても敢えて載せておきたい。これはあくまでも個人的なメモだからである。
ユーロ/ドルが上昇し、ユーロ/円が下降した場合である。
ユーロ/ドル ユーロ/円
この場合ドル/円は大幅に下降する。
ドルが売られてユーロが買われ、円が売られてユーロが買われた。単純に円高・ドル安になるということだと思われる。
もう一つ特筆すべき動きがある。ユーロ/ドル、ユーロ/円共に大幅に上昇、または下降した場合の動きである。
ユーロ/ドル ユーロ/円
または、
ユーロ/ドル ユーロ/円
この場合、蚊帳の外にいるかのようにドル/円は全く変動しない。くどいが割合によりけりなので注意が必要なのは前述の通りである。
ユーロ/ドル、ユーロ/円双方ともに同じ割合だけ買われたり、売られたりしてもドル/円は相対的には変動しないからだと思われる。この値動きの重要性はわかる人には当たり前のように理解されているものと思われるが、なかなかわかりにくいものである。
敢えて2017年12月19日12時前の取引状況で比較してみると、
このチャートは記事を書いている時点の左がユーロ/ドル、右がユーロ/円の1分足チャートである。
双方ともに上昇している流れなのだが、ユーロ/ドルは順調に上昇しているが、ユーロ/円については上下動を繰り返しながら上昇している。このような状況が発生するとどうなるか、単純化した図式ではユーロ/ドルが大幅に上昇、ユーロ/円は小幅に上昇した時と置き換えることができる。
ユーロ/ドル ユーロ/円
結果として同じ時間帯のドル/円は以下のチャートのようになった。
上下動を繰り返しながらも下降していることがわかる。
「金融日誌 2017年12月18日 結果」に書いたが邦銀のドル調達コストが急上昇している状況下では、個人的にドル/円の上昇幅は限定されると考えている。しかしドルの需要は堅調と思えるため、ドル調達コストが安定するまでの間、ドル/円は値幅を限定した動きになるのではないかと思っている。
上下動が限定された状況下で、どちらに触れるかわからないと取引など恐ろしくてできたものではないが、ただ単にドル/円のチャートの動きから予測するよりも他のチャートを加えて考えると予測の精度は各段に上がる(と信じたい)。
2017年12月19日時点ではアメリカの税制改革法案の行方で様子見とされているが、世界的な景気は良好に推移していると見ていいのではないかと考えている。その中で日本の銀行がドルが買えない状況が続くとした場合、ドル/円の上昇幅は限定された状態で推移するのではないか。
そして、ドル/円の上昇幅が限定されるとした場合、釣られてユーロ/円の上昇幅も限定的になり、一方のユーロ/ドルが堅調に推移するならば結果的にドル安の傾向が強くなるのではないか。
これはあくまで個人的な予想だし、その他の要因も十分に考慮すべきだとは思うが、そのようなわけで12月中、年明けになってドルの流動性が改めて高くなるまではドルショート(ドル売り)方向で勝負をしたいと考えている。
また、16時からの値動きでヨーロッパ人(主にドイツ人だと考えている)は馬鹿だと思っていたが、実はユーロを買い戻している過程でユーロ/円の上昇幅が大きいとかで円安・ドル高に振れているのではないかと考え直した。ヨーロッパの方々ごめんなさい・・・
逆に一部のブログなどで「イギリス人いじめ」と称されている値動きは単純にアメリカ時間が来てユーロ/ドルの動きが活発化するのに対してユーロ/円は深夜に入るため停滞し、結果として一時的にドル安・円高に振れるとも考えられる。
今後は値動きを擬人化して捉えるという馬鹿なことはせず、きちんとしたReasoningをして見ていきたいと反省する今日この頃である。
日本時間12時42分投稿。
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