2016年12月29日木曜日

バルス( ゚Д゚)< format c: パート3

このシリーズのパート1パート2で書いてきた経営戦略の授業は、同じゲームを使ったMBAコースも必修としてありました。

それまでは私の担当教授が全ての授業を行っていたのですが、私がこの授業を受けようとしていた直前のタイミングで新しい先生が入ってこられて、この先生が私の授業を担当いただけるようになったのは不思議なめぐりあわせだと思います。

授業を受けるようになるまでの1年間の間に、私はこのゲームのほとんど全てをマスターしていましたし、それは他の生徒には公平ではないのではないか?と思っていましたのでゲームに代わる何かをさせてもらえないかとこの新しい先生にお願いしたのですが。。。

「他のチームが何をするのかわからないわけだし、君がゲームに参加するのは問題ないと思う。」

と、聞き入れてもらえませんでした。

それまでの担当教授にも意見を求めましたが、「新しい先生の授業なわけだし、私が意見するのもどうかと思う。。。」と不思議な笑みをたたえながら特に干渉はされませんでした。

いいのかな・・・

と思いつつ、でもまあやらせてくれるというのであればやらざるを得ないわけですし、「後で後悔することになると思うのですが・・・」とかなり強く訴えたのですが結局は授業に取り組むことになりました。

当然このゲームのオペレータも私がすることになったわけで、やらなかったですが不正もし放題なわけなのですが・・・www

授業が開始され、ゲームの世界の一年目、私がチームになったのは南米系の陽気な二人だったのですが、とりあえずゲームの内容を一番把握していた私がある程度戦略について説明しながらしばらくは私がフロッピーを作成することになりました。

現実世界でもある程度同じように言えると思うのですが、やはり何を売るにしても市場を支配するのは品質だと思います。

私の1年目の戦略は借り入れを行って工場の生産能力を3倍程度に高めつつ、品質をそのゲームが取り得る値の最大にまで高めるということでした。

さらに他のチームが行ってくることがわからなかったため売り上げ予測は「辛め」にして設定し、資金繰りが圧迫されないように余裕を持って戦略を立てたのです。
私の予測では、MBAの生徒の集まりなわけですからかなり激烈な競争を想定していたのですが・・・

初年度の結果は8チーム中3位と言う結果に終わりました。

授業の教授は「それ見たことか」とほくそえんでいたのですが、結果の分析を行った私は驚くべき事実を知ることになりました。

ほとんどのチームがほぼ何もしていなかったということです。

確かに初めてのゲームですので、様子を見るというのは当然の戦略とは思うのですが、この時点で私のチームはゲーム世界最大の生産力と、他のチームでは絶対に超えられない品質の高さを持つことになったのです。

ではなぜ1年目の結果が3位になったかというと、このゲームが持っていた「自社ブランドでの売り上げ」と「OEM(ゲーム内の架空の会社のブランド製品受託製造)生産の売り上げ」の内、自社ブランドでの売り上げ市場が「他のチームが何もしなかった故に需要が供給を大きく超え、どのチームが生産したものも売り切れたからです。

つまり、最も楽観的な値段で売ったチームの売り上げ金額が大きく伸びたため、他のチームとの競争を想定した私のチームの売り上げは「もっと高く売れたものをかなり安く売ってしまった」ために利益がそこまで出なかったという結果だったわけです。

この分析の結果、私にわかったことは他のチームはこの時点で品質面でも生産能力面でも競争相手にはなれず、以降、私の思いのままに市場を独占できるようになるということでした。

この授業の担当教授が「ゲームのルールを知り尽くした人間が何をできるか」について思い知ったのはゲームの2年目でした。

説明が難しいのですが、このゲームではOEM生産の市場はある程度「安定した売り上げが見込める」もので、自社ブランドでの売り上げを超過する生産についてはOEM生産で売ることで会社の資金繰りをある程度固い予測の元に計画できるようになっていました。

逆に自社ブランドでの販売は他のチームとの競争が発生するものだったため、全てを自社ブランドで販売すると競争に負けた場合に大きな穴をあけてしまうことになります。需要予測上は2年目もゲーム全体の生産能力が追い付いていなかったため、問題にはならない程度でしたが。

1年目の結果、その時点では自社ブランド向けの需要を満たせていないことがわかったため、他のチームは生産能力を高めながら、他のチームとの競争に備えてある程度固い戦略を取ってくるものと思われました。

また、初年度3位だった私のチームの生産能力と品質はそれほど注目を受けていなかったのですが、他のチームから見れば自社ブランド向けの販売を増やして利益の最大化をするだろうと予想するのが当然だと思われました。

つまり、他のチームはある程度の予定調和の中でゲームが進行するだろうという予測の元に戦略を立ててくると思われたのです。

そこで私が着目したのがOEM向けの販売でした。1年目が終わった時点で私のチームの生産能力はOEM生産のほぼ8割を賄える状態だったので、ブランド向けの販売をせず、全ての生産能力をOEM向けに仕向けてしまえば、ほぼOEM市場が独占できることになるわけです。

逆にこのゲームでは一度OEM向けの製品を生産して売れ残った場合、余剰在庫として売れ残ってしまうことと、売り上げ予測の中でのOEM製品販売はほぼ「当たり前に売れて運転資金として使える」と普通であれば考えるため、他のチームがこの市場で製品が売れなかった場合、資金繰りに大打撃を与えることができると予想できました。

2年目、私のチームは会社の利益を追求せずにその時点で世界最高品質の製品全てを、安いが品質が高ければ確実に売れるOEM市場に販売しました。

・・・・・・

2年目のオペレーションの結果、他のチームはOEM市場に向けた製品がほぼすべて余剰在庫として計上され、安定的に入ってくるはずだった運転資金が枯渇し、都合3チームが実際に倒産し(すべて私が倒産寸前になるように調整しましたが)、その他のチームも全て倒産寸前の状態に陥ったのでした。

倒産寸前に陥ったチームは工場の生産能力を含めた資産の見直しを余儀なくされ、自社ブランド製品の品質向上どころではなくなってしまい、逆に確実な売り上げで利益を上げた私のチームはさらに生産能力を向上させることで、3年目は私のチームの生産能力が8つの会社からなる世界のほぼ4割の生産能力を持つにいたったわけです。

授業におけるこのゲームの割合は4割と非常に高く、この時点で私のチームの3人以外はほとんど壊滅状態になってしまったため授業全体が崩壊寸前の状態に陥ってしまいました

そして都合10年を進行させるこのゲームの内、5年目までに私のチームは単独で世界市場の6割の売り上げを独占することになりました。

当然他のチームの人も私がこのゲームのオペレータを行ってきたことを知ることになり、この授業の担当教授は私をゲームから外さざるを得なくなったわけでした。

結果として、私はこのゲームを行った授業としては初めて、授業途中でグレードAを確約された上でコンサルティングを行うという訳のわからない生徒になったわけでした。

あまり気にしなかったですが、その後の授業での私の位置づけは非常に微妙なものになり(他の人にしてみればほぼチートしていたに等しいわけですから当然ですがwww)、コンサルティングの受託は初めの内はほぼありませんでした。

その内、コンサルティングをさせていただいたチームが話し合いの結果成績を上げていくのを見るのはとても気持ちのいいものだったことも覚えています。

授業は最終的に他の全てのチームが奇跡のV字回復を達成し(ここはさすがに皆MBAを受講しているだけありました)、優秀な成績を収めて終わりました。

ちなみに私のいたチームは最終結果3位に終わりましたwww 常に陽気で楽観的な南米出身者にしては健闘したと思います。

このゲームを通して色々なことを学ぶことになったわけですが、現実社会で評価されることもないのは言うまでもありません。今となってはいい思い出にしかなっておりませんwww

ここまで長いシリーズになってしまいましたが、最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

0 件のコメント:

コメントを投稿