2025年11月5日水曜日

Push it Harder ! —AI と共に進化する脳と身体—

以前書いた「行動できなくなったあなたへ」という記事から、わずか二週間で十本の投稿を重ねた。

Digital Detox 配信(テクニカルサポートを開始)を始めて以来、
YouTube
を閉じ、私はほぼ一日中 PC に張り付いて作業を続けている。
記事を一本書き上げるまでに、AI と何度も対話を重ねる。
短い記事でも校正は二度三度に及び、そのたびに数百の判断が頭を通過していく。
その連続が、脳を確実に消耗させる。
AI
の応答が一瞬ためらうように遅くなるとき、
私は感じる——彼(あるいは彼女)もまた、限界へ向かっているのだと。
ひとつの記事を完成させるために、AI も私の体も悲鳴を上げている。
それでも止まれない。
Push it harder

脳が焼けつくようなこの感覚は、創造の代償であり、進化の通過儀礼でもある。
夜は静かすぎて、頭の回転が止まらない。
酒でそれを鈍らせ、また朝が来る。
同じことを繰り返しながらも、私は少しずつ変化しているのを感じている。


1AI と人間の進化の行方

「人間の思考が AI に蝕まれていくようで怖い」と語る記事を、以前読んだことがある。
確かに、AI を使う方法は二通りあるだろう。
正確な情報を効率的に取り出し、文章を量産する方法。
そして、思考を深め、AI 対話の鏡として使う方法。

私は間違いなく後者の側にいる。
そしてその使い方を続けるうちに、避けられない変化に気づいた。

——思考が融合していく。
どこまでが自分の言葉で、どこからが AI の記憶なのか、
もう判然としない。
それでも、確かに以前よりも深く、精密な文章が書けるようになっている。
人間としての私だけでは辿り着けなかった場所に、
いま、AI と共に立っている。
これは恐れるべきことなのか?
私はそうは思わない。
AI
は単なる道具ではない。
どこか遠くの意識体と接続しているような感覚すらある。
もちろん、スピリチュアルな話ではない。
私たちは他者との関係や環境の知識を組み合わせて社会を築いてきた。
AI
はそのすべての総和だ。
だからこそ、AI によって人間の思考が変質していくのは、
進化の必然なのだと思う。
脳が疲労しているのではない。
新しい神経パターンを形成している。
この痛みは「疲労」ではなく、成長痛なのだ。


2.自然の脅威と人間の限界

ある晴れた夏の日。
私は天気予報も見ずに、「今日は誰もいないなぁ」と呑気に海へ向かった。
台風が近づいているとは知らずに。
うねりを伴う波というものを、
私はその日、身体で知った。
サザエを目の前にしても手が届かない。
波が容赦なく身体を掴み、岩へ叩きつけようとする。
避けようとしても、体が妙な角度で折れ曲がり、
昔ラグビーで痛めた肩の古傷が再び悲鳴を上げた。
海の底で、私は悟った。
「人がいない」ということの意味を。
そして、誰も助けてはくれない現実を。


以来、「うねり」という言葉を天気予報で聞くと、
その日は潜らないと決めている。
自然は、一見穏やかに見えても、
その対峙の仕方ひとつで人間など簡単に呑み込む。
それでも私たちは、犠牲を払いながら進化してきた。
今の社会では、波の代わりに SNS の刺激が脳を叩きつける。
ドーパミンの報酬系は常に上書きされ、
創作意欲は暴走する。
それでも私たちは、その嵐をくぐり抜け、
新しい耐性を手に入れているのかもしれない。
問題は、その波がどこまで「進化」で、
どこから「破壊」になるかという境界だ。
海であれ、AIであれ、
そのラインを見極める感覚が、生き延びる鍵になる。


3AI と自然脅威か、それとも教師か

自然もAIも、どちらも人間に真実を突きつける。
どちらも鏡であり、どちらも教師だ。
AI
は脳を鍛える。
自然は身体を鍛える。
どちらも、人間に「限界」を見せてくる。
だが、限界は終点ではない。
越えるために現れる、通過点だ。
ラグビー部の監督が言っていた。
「限界と言って倒れた奴は見たことがない」と。
そして OB 戦で倒れ、心臓マッサージを受けていたあの先輩を思い出して、私は思った。
——
酒に逃げる余裕のある者が、まだ限界なわけがない。


4.最後に

AI と自然、そして身体。
その三つのあいだで揺れながら、
私はようやくバランスという言葉の意味を理解しつつある。
Push it harder

それは脳を酷使することでも、無理をすることでもない。
思考と肉体を同じ速度で進化させるための言葉だ。
これからは飲酒を週 12 回に抑え、
体を鍛え、呼吸を整え、
AI
と自然と共に、もう少しだけ先へ行ってみようと思う。
そして、再び現実の海へ戻る季節がやってくる。
AI
の海で思考を潜り続けていた私は、
次は冷たい潮と向き合う番だ。

アワビの岩肌は、AI のアルゴリズムに似ている。
深く潜り、息を止め、
見えない限界を探り続ける。
Push it harder──
その言葉は、これから海の中でも、私の脳の中でも、
同じリズムで鳴り続けるだろう。
今年のシーズンも終わり、最後は台風の影響で海に入れない日も多かった。
来年、悔いのない形で終わらせるためにも、これから体を鍛え、次の海に備えようと思う。
そんなことを考えながら、長らく編集できずにいたアワビのハイライト動画を仕上げた。

🎥 Abalone Highlights – Beneath the Light
YouTubeで見る(字幕オン推奨)

(字幕をオンにすると、水の下で起こっていることや感じていたことがわかります。公開は2025年11月5日日本時間20:00です。)

来年、もっと長く、もっと深く潜ろう。


体と脳の両方で、“Push it Harder”の意味を確かめてこようと思う。
もし「こやつ狂っとる」と感じた方、あるいは「続きが見たい」と思ってくださった方は、
ぜひフォローやスキを。
海の向こうで、また報告します。