日誌と言う形で日々配信する中で、読者の方が興味のないものだったりは当然あるかと思いますので、どうぞ読み飛ばして興味のあるところだけ読んでいってください。
<日誌本体>
しばらく投稿をお休みしてしまった。
ウニ採り作業でちょっと疲れが出てしまったのだ。
山口に帰ってきてから、毎年ウニ採りはしていたのだが、毎年瓶詰するぐらいのウニを採って漬けるぐらいの量しか採れていなかった。
採れなかった最大の理由を思い返せば、簡単に言えば毎年ウニを採る場所を特定の場所だけにしていたのだが、今年初めての日は波が強すぎて波が落ち着いている所に場所を変えたのが最大の理由と言える。
今まで記憶の内で一番行っていた場所で、毎年身入りが良いところばかりに行っていたのだが、梅雨明けの時期から波が強く後で説明するガゼウニと言うものばかりを採っていた、というか、ガゼウニしか採れなかった。
そこで今回は知り合いの漁師に聞いて実入りが少ないことを覚悟して場所を変えたわけだが、そこはその時波が無く、そして岩がとても手頃でひっくり返しやすかったため、後で説明する馬の子(バフンウニ)が結構な量、採れたのだ。そして何より身入りがとても良かった。(バフンウニは岩の裏側にいるため、岩をひっくり返さないとほとんど採れない。逆に岩をひっくり返すとガゼウニも2倍程度採れるため漁獲高は飛躍的に増加する。)
画像の奥側の8箱がガゼウニ(黒ガゼ)と言う種類、棘が長く、殻が黒い。手前の一箱がバフンウニ、地元で言う馬の子である。棘が短く、丁度馬糞のような色合い?なんだと思われる。
バフンウニは大体1kgが土方の(手取り)日当ぐらいの卸値で、ガゼウニはその半分ぐらいである。上の画像のバフンウニの量で大体1kg、ガゼウニは大体2kg程度だった。
ウニはこれだけ見るととても単価の高い売り物のように感じるだろうが、皆あまり本気ではやりたがらない。それは・・・
取り出す作業にめちゃくちゃ時間がかかるのだ。上の写真はウニを割って身を取り出す作業。握りこむと開く道具を口側から差し込み、殻を割る。
割った殻の内側についている身をでかい耳かきのようなもので取り出す、と言う作業を延々とする。
取り出した身にはウニの内臓などがあるため、今度はそういったゴミをピンセットで取り除く作業。こちらは基本的に母親にしてもらう。
で、代々家では夏の時期はこの作業をしているわけだが、この作業の日程はこんな感じになる↓
口開け(漁開始)の日、午後1時半から漁開始。大体1時ぐらいに準備して現場に行く。
特に終わりの時間は定められていないようなのだが、大体5時過ぎぐらいに作業を終える。そして漁の現場によってはそれから30分から1時間かけて取ったものを移動して車で家に帰宅する。(岩場を歩いて採ったものを運ぶのだ)
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帰宅後、まずは漁協に据え置きの海水取水器に海水を取りに行く。多分30リットル入りのタンク6本ぐらいに海水を入れて持ち帰る。
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箱に採って来たウニを上げ、ガゼウニとバフンウニを仕分ける。当然陸にあげてしばらく放置するため、出来るだけ弱らないように上に掛けたムシロの上から海水を掛け、温度が上がらないようにしておく。
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この時点で早くても午後7時ぐらいである。早いところ飯を食って寝る。
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午前2時起床。殻を割る作業から着手して、最後の工程までの繰り返しを母親と共同で行う。
↓
掛売の引き取りは午前10時半から11時まで。時間通りに作業が終わると少し休憩をして、口開けの翌日からは12時から漁に入って良いことになっている。
大体ウニ採りは大潮などの干満差が激しい日から始まり、口開けの日の干潮が大体3時ぐらいになるようになっている。
翌日以降は干潮の時刻が1時間ずつ後ろ倒しになるため、休憩を多めに取る漁師が多いように思う。
画像のウニを採った時は母の起床が4時ぐらいで、結局夕方の5時まで作業にかかってしまった。
この日は丁度天候が悪かったのでその日はウニ採りには行かなかった。まあ、行けなかったというのが正しいのだが(笑)
昔は盛んにウニ採りが行われていて、俺が高校生で橋の無い頃の角島に隔離(タバコ吸ったり夜遊びして酒飲んだりしていたので・・・)されていた頃は従弟と俺、爺さんの3人で画像の3倍近い量を捌いていたし、他の家も結構本気で採っていたように思う。
それが角島の高齢化と、漁協の「島に現住所が無い人間が漁を行ってはならない」と言う規制が入ってからは当然、どんどん漁自体が出来る人が少なくなっており、遠目に見ても500g程度を1家族が採っているか?ぐらいな状態である。
漁協の規制については色々と賛否があるとは思われるが、漁業従事者の喫緊の課題として、海洋資源全体の減少がある。
漁協としてはアワビなどの養殖や放流、近隣海域の禁漁などを行っているわけだが、単価の高いアワビなどの生息環境と完全にバッティングをしているウニを採っていないわけだから、当然、生殖能力の強いウニが海岸を埋め尽くすようになってしまっているのだ。
ウニの単価も年を追って高くなり、身が固く形が残りやすい上に加工しやすいバフンウニは30年前と比べ倍増している。それだけ取る人が少ないことを端的に表しているのだが、それでも取る人は一向に増えていない。
いや、増える要素など何一つないのだ・・・
長々と書いてきたが、ウニは美味しいし、値段も高いだろうと言うことであまり真剣に環境に対する影響について考慮されることは少ないのではないかと想像する。
実際、ウニは採って売りさえすれば結構な日銭稼ぎになるが、漁業関係者が少なくなる現状ではほとんど放置されているに近く、そして厄介なことに、ウニは生存能力が異常に高いため近隣の海藻を食べ尽くし、食べ尽くすだけにとどまらず近くの岩に穴を穿って住みついて他の海洋生物が住めない環境にしてしまうのだ。
今回久しぶりに入った海岸は既に焼き尽くされているものと思っていたが、何かの兼ね合いで海岸に海藻が戻りつつあり、今年頑張って環境を少しでも良くしてあげると来年以降、環境が劇的に変化する可能性があるのではないかと期待している。
元々その海岸ではサザエやアワビなどが住んでいた。せっかく従来のウニ採りの方法が自分でもできる事が判明したので、何とか昔の環境を取り戻せるように頑張りたい。
そして・・・明日、ウニ採りの口開けである。今回は4日間となる。そのためまたしばらく投稿ができないと思われる。
ちょっと思う所あってTwitter にはウニ採りの様子を投稿するかもしれないので、興味がある人はそちらを見ていただければと思う。
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